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【2021最新】住宅ローンの繰り上げ返済とは?注意点やメリットを解説!

  • 「住宅ローンの繰り上げ返済のメリットとは?」
  • 「タイミングや注意点はある?」

結論、住宅ローンの繰り上げ返済は支払総額が少なくなるメリットがあります。

ただし、繰り上げ返済の向き不向きやタイミングといった部分を考慮する必要があるのです。

本記事では、住宅ローンの繰り上げ返済を検討している方に向けて「どのような人・プランが向いているのか?」を解説していきます。

【この記事を読むメリット】

・繰り上げ返済の向き不向きがわかる

・繰り上げ返済によるデメリットがわかる

・返済タイミングの考え方がわかる

「住宅ローンの繰り上げ返済」とは?

住宅ローンの繰り上げ返済とは、毎月定めた一定の返済額とは別に、”前倒して”返済を行う方法です。

毎月のローン返済では、利息と元本を含めた返済額を支払いますが、繰り上げ返済は「全て元本返済」に充てられるので、元金返済の前倒しとなり、結果として支払利息が少なくなるというメリットがあります。

余力がある際には、積極的に繰り上げ返済を利用することで、支払総額を抑えた効率的な返済が可能です。

※ただし、繰り上げ返済の最低金額や返済手数料が借入先によって定められているので、必ず確認しておきましょう。

【繰り上げ返済の種類について】

住宅ローンの繰り上げ返済は「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。

・「返済期間短縮型」は、繰り上げ返済によって返済期間を前倒して短縮するタイプ

・「返済額軽減型」は、繰り上げ返済によって毎月の返済額を減らしていくタイプ

【簡易比較表】

返済期間短縮型返済額軽減型
月々の返済額変動せず一定返済額に応じて減少
借入期間返済額に応じて短縮期間変動なし
メリット・返済期間の短縮が可能・軽減型と比較して利息総額を減らせる・毎月の支払額が減るため、家計負担が減って生活が楽になる
デメリット・返済によって短縮した期間を再延長することはできない(※一部例外有り)・借入期間は短縮されないため、利息総額は期間短縮と比較した場合多くなる。
向いている人・現状高金利で借りている人・金利上昇が不安な人・定年退職後も返済期間が残る人・生活費の負担が大きい人・出産/転職などで収入減少が見込まれる人

※出典「一般財団法人 住宅金融普及協会「返済方法について」より」

それぞれ返済方法の特徴・向く人について解説していきます。

1.「返済期間短縮型」を簡単に説明すると

※画像引用:「価格.com「繰り上げ返済、期間短縮型と返済額軽減型はどう使い分ける?」より」

【返済期間短縮型の特徴】

返済期間短縮型
月々の返済額変動せず一定
借入期間返済額に応じて短縮
メリット・返済期間の短縮が可能・軽減型と比較して利息総額を減らせる
デメリット・返済によって短縮した期間を再延長することはできない(※一部例外有り)
向いている人・現状高金利で借りている人・金利上昇が不安な人・定年退職後も返済期間が残る人

期間短縮型では毎月の返済額はそのままですが、借入期間が短くなる=その分利息も減るため、支払総額を抑えたい方は「返済期間短縮型」がオススメです。

現在の借入金利が高い場合や将来の金利上昇に備えたい人に向いており、定年退職した後にローン支払いが残ってしまう方も、早期完済が目指せる期間短縮はメリットが大きい繰り上げプランでしょう。

支払総額を抑えるということは、老後の生活資金をより多く準備することと同じですので、生活に余裕がある際には、積極的に繰り上げ返済を行うと良いでしょう。

2.「返済額軽減型」を簡単に説明すると

※画像引用:「価格.com「繰り上げ返済、期間短縮型と返済額軽減型はどう使い分ける?」より」

【返済額軽減型の特徴】

返済額軽減型
月々の返済額返済額に応じて減少
借入期間期間変動なし
メリット・毎月の支払額が減るため、家計負担が減って生活が楽になる
デメリット・借入期間は短縮されないため、利息総額は期間短縮と比較した場合多くなる。
向いている人・生活費の負担が大きい人・出産/転職などで収入減少が見込まれる人

返済額軽減型は、借入期間は短縮されませんが、毎月の返済額が減っていくので、ローン返済による家計負担を軽減できます。

近い将来お金が必要になることを踏まえて、毎月の支払額を早い段階から減らして行きたい方は「返済額軽減型」がオススメです。

期間短縮型ほどではありませんが、支払利息の軽減効果も見込めるので、教育費や親の介護費の捻出が必要な場合や、転職や出産に備えて早い段階から支払額を抑えていきたい方に適しているプランになります。

ローン返済は「健康的な生活があってこそ」です。

まずは家計の圧迫を抑えて、生活水準を安定して保てるように調整することも、良い選択肢の一つになるでしょう。

「繰上返済」詳しいメリット・デメリットについて

ここまでは、各繰り上げ返済の概要や種類について解説してきました。

本章では、繰り上げ返済の詳しいメリット・デメリットを紹介し、より住宅ローン返済を具体的に検討できるように理解を深めていきましょう。

繰り上げ返済をする3つのメリット

1.「支払総額(利息)の軽減効果」

住宅ローンの借入金額は平均は、新築で平均3361万円と非常に大きい金額になります。

【住宅ローンの平均借入額】

注文住宅(新築)3361万円
注文住宅(建て替え)1830万円
分譲戸建住宅2830万円
分譲マンション2702万円
中古戸建住宅1575万円
中古マンション1551万円

※表引用:「ファイナンシャルフィールド「聞きづらいけれど知りたい! 住宅ローンの平均あれこれ」より」

住宅ローンは10年~30年と長年月をかけて返済していくことが多く、お金を借りている期間(借入期間)には、借入期間や借入金額に応じた「利息」が発生し続けます。

繰り上げ返済によって借入期間や元金を減らすと、利息もその分無くなるのです。

これは、金利が高いほど効果的になるので、現状の住宅ローン金利が高い場合はオススメです。

2.「将来の計画が立てやすくなる」

住宅ローンで借入を行った時期によっては、定年退職後まで返済が継続することもあるでしょう。

多くの場合は退職金を考慮して返済を行うことを考えますが、退職金が確実に貰える保証も無ければ、今と同じように働けるとも限りません。

繰り上げ返済で将来負担を前倒すことによって、万が一のリスクを軽減できるという部分もメリットの一つです。

定期的な収入が継続的にあるうちに借入金額を減らしておき、なるべく収入が途絶える前に完済しておいた方が、将来不安に悩まず生活していけるでしょう。

3.「早期完済は”返戻金”として保証料が戻ることも」

住宅ローン利用時に保証金を支払っていると、早期完済による借入期間短縮によって、短縮分の保証金が「返戻金」として返ってくる※ことがあります。

(※ただし、保証料・返戻金の計算方法は各社異なるため、返戻金が戻らないこともあります。)

住宅ローン契約時に保証料を支払っていないケース※では、当然返戻金の発生はないので注意しましょう。

(※保証料は住宅ローンの連帯保証人を立てる代わりに支払うものです。)

また、返戻金がある際には自動で手続きが行われて、申請をせずとも保証料が返ってきますのでご安心ください。

繰り上げ返済をする3つのデメリット

1.「住宅ローン控除で損をする可能性」

住宅ローン控除を利用して、入居後10年間の特別控除を受けている方は、借入期間を10年未満にしないように調整して繰り上げ返済をしましょう。

仮に繰り上げ返済によって借入期間が10年未満まで短縮されてしまった場合、本来であれば受けられる住宅ローン控除を満額分受けられなくなります。

また、借入残高が減るとその分控除金額が低く調整される可能性もあるので、住宅ローン控除との兼ね合いはよく考えて行いましょう。

せっかくであれば、特別控除制度の税優遇を最大限受けつつ、繰り上げ返済によって支払総額を軽減させていけるように返済プランを計画したいところです。

【繰上返済の時期による支払利息の軽減額と住宅ローン控除額の比較】

[設定条件]

・借入額3,000万円、返済期間35年(全期間固定)、住宅ローンは1月から開始

・住宅ローンの控除期間は10年間、控除額は所得税・住民税から全額控除されたとする

・繰上返済は期間短縮型を選択、手数料は考慮しない、支払利息の軽減額は100円未満切り捨て

5年後に300万円11年後に300万円
金利0.50%1.00%1.50%0.50%1.00%1.50%
支払利息の軽減額(A)45万600円97万3,900円157万1,900円35万2,433円74万1,608円119万2,262円
住宅ローン控除による控除総額(B)241万2,900円243万9,900円246万6,600円256万400円259万1,500円262万1,200円
A+B286万3,500円341万3,800円403万8,500円291万2,833円333万3,108円381万3,462円

※表引用:「一般社団法人全国銀行協会「Q. 住宅ローン減税と繰上返済、どちらを優先させた方がいいですか?」より」

2.「契約時に加入する団体信用保険の都合」

民間の金融機関で住宅ローンを契約すると、「団体信用保険(団信)」と呼ばれる保険への加入を義務付けられることが一般的です。

この団信は、契約者に”もしもの事”があっても、ローン残額を肩代わりしてくれる「住宅ローン専用の保険」です。

生命保険等とは異なり、保険金の受取人が被保険者又は家族ではなく、契約した金融機関が受け取ってそのまま住宅ローン返済に充てる形なります。

また、被保険者が受け取る形ではないため、所得税や贈与税、相続税といった各種税金が発生しない形で住宅ローンが返済される点も特徴的です。

上記点を考慮すると、繰り上げ返済中に万が一の事故が発生した際、その保証額や保証期間が短くなるのはデメリットと考えて良いでしょう。

「繰り上げ返済分を蓄えて置いた方が得だった」なんてことがないように、団信保険との兼ね合いも考えるようにしておきたいですね。

3.「繰り上げ返済には手数料が掛かる」

繰り上げ返済を行う場合、ローン契約先の金融機関窓口又はインターネット上で手続きを済ませておくことが必要であり、都度手数料が必要なケースがあることを頭に入れておきましょう。

契約先の金融機関によっては、手続き方法によって手数料が変わってくることがあるので、事前に手続き方法や手数料を調べておきます。

【三菱UFJ銀行の例<一部繰上返済手数料(消費税込)>】

※平成29年5月15日(月)に、住宅ローンの期限前完済手数料および一部繰上返済・期限前完済時の保証会社事務手数料を改定しました。

お申込方法改定前改定後
インターネット(*1)無料無料
電話(*2)テレビ窓口5,500円5,500円
窓口16,500円16,500円

※表引用:「三菱東京UFJ銀行「当行住宅ローンをご利用中のお客さま」より」

繰り上げ返済に適したタイミングはいつ?

メリット・デメリットを踏まえて、繰り上げ返済を行うべきタイミングについて解説します。

繰り上げ返済のタイミングにおいて最も考慮すべき事項は、軽減効果が高い「住宅ローン控除」です。

借入から10年間、年末の借入残高から1%分が控除されるため、期間中は住宅ローン控除を優先させた方が結果としてお得に返済できる可能性があります。

それまでは貯蓄しておき、住宅ローン控除期間の終了後に早くから繰り上げ返済を行うことで、効果的に総支払額を抑えることができます。

住宅ローン控除利用中から繰り上げて返済する場合は、年末残高から控除額を計算する仕組みであることを理解しておきましょう。

このケースでは、年末での繰り上げ返済は一旦待ち、年明けに借入残高を減らすことで、効率的に併用していくことも可能です。

住宅ローン控除期間と早期完済の支払総額を比較し、その間貯蓄した方が得なのか、繰り上げ返済なのかを考えてベストなタイミングを選びましょう。

まとめ:住宅ローンの繰り上げ返済は無理なく計画的に!

今回は住宅ローンの繰り上げ返済について解説させて頂きました。

繰り上げ返済は、毎月のローン返済とは異なり、全て元金返済に充てられる効率的な方法です。

一方で、繰り上げ返済・早期完済と聞くと良いイメージを抱きがちですが、本当に「繰り上げ返済」という選択肢が良いのかは各家庭によって大きく異なります。

毎月貯蓄して一気に完済を狙うのか、支払総額を抑えるべく定期的に元本を減らしていくのか、これに正解はありません。

大切なのは、ちゃんと毎月返済し続けて行くことであって、支払総額を抑えることや早期完済は二の次です。

まずは生活を第一に、余力の範囲内で繰り上げ返済を行っていくようにしましょう。

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